2007-07-31

ザ・ピーナッツ The Peanuts 1961

「モスラ」 Mosura aka Mothra (1961 東宝 本多猪四郎)より
『モスラの歌』 Mothra Song (1:49)


「モスラ」 Mosura aka Mothra (1961 東宝 本多猪四郎)より
『インファントの娘』(2:21)



"Mosura ya Mosura"
Dongan kasakuyan
Indo muu
Rusto uiraadoa
Hanba hanbamuyan
Randa banunraadan
Tounjyukanraa
Kasakuyanmu

Translation:
Mothra oh Mothra
If we were to call for help
Over time
Over sea
Like a wave you'd come
Our guardian angel

作詞:由紀こうじ(プロデューサー田中友幸、監督本多猪四郎、脚色関沢新一の共同ペンネーム)、作編曲:古関裕而のこの歌は日本人のDNAにすでに刷り込まれているといっても過言でないほど有名だ。インドネシア語をベースにして書いたといわれる歌詞のインチキ臭さがたまらない。『インファントの娘』は作詞・作曲:池すすむ、編曲を古関裕而が手がけた。

映画「モスラ」は何と中村真一郎、福永武彦、堀田善衛が原作なのだという。それがかえって胡散臭さを増すように感じらるるはいとをかし。いいなあ、インファント島。Infantって英語の幼児だよねえ。それとも幼虫かな。モスラが卵から幼虫時代を過ごす島という意味なのだろうか。それにしても英語かよ。

『モスラの歌』はその後モスラが出てくる他の映画でも登場したと記憶する。また近年のリメイクでもこの歌の新ヴァージョンが使われている。もちろんピーナッツのオリジナルには遠く及ばなかったけれど、なかなか健闘していたと思う。『モスラの歌』新旧全ヴァージョンをそのうち整理してみたいものだ。

平井英子 Hideko Hirai 1931

「茶目子の一日」 A Day of Chameko (1931 協力映画製作社 西倉喜代治)(6:45)


この歌とフィルムにめぐり合ったのはYouTubeでエノケンを検索していてのことですから、インターネットに感謝しなければなりません。この作品は一部ですでにサイケとかシュールいう文脈でもてはやされているようです。

「歌うシーン」が出てこないミュージック・ヴィデオのようなものは除外する方針でしたが、この作品をオミットするのはあまりにももったいない。というわけで、某所に続いてこちらでもとりあげてみましたが、平井英子についても、このフィルムについても情報量がふえておりませんので、基礎的なデータのみを掲げておきます。

佐々紅華作詞作曲、平井英子独唱、高井ルビー・二村定一台詞による子供たちの愛唱歌をアニメ化。フィルムはサイレントだが、スタートマークがでたところでSPレコードをスタートさせると、画面と音楽が同調(シンクロ)する。トーキー映画が普及するまでに一時流行ったレコードトーキー作品。


http://www.interq.or.jp/rabbit/aloysius/voice/eiko.html

上のサイトへ行くと思い入れたっぷりの平井英子論が読めます。基礎的情報も少しはありますので、ご参照下さい。こんな文章を読んでしまっては付け加えるものは何もありません。

The Mills Bros. 1932

‘I Ain't Got Nobody’ (1932 米 デイヴ・フライシャー, Screen Songs)
曲目: “Goodbye Blues,” “Some Of These Days,” “Tiger Rag,”
“I Ain't Got Nobody,” “Tiger Rag” (8:55)



‘Screen Songs’とはフライシャー・スタジオが制作しパラマウントが配給した歌入りアニメーション・シリーズ。1929年から1938年にかけて制作された。歌詞の上をはねる玉‘Bouncing Ball’は、前身のSong Car-Tunesシリーズ(1924~1926)からのトレード・マーク。映画館ではフィルムに合わせて大合唱が起きたのだろうか。

『タイガー・ラグ』はディキシーやスイング期のジャズ・メンの誰もが取り上げているほどの有名曲。当時のジャズ・メンのオリジナル曲の大部分はこの曲のコード進行をもとにメロディを作り変えたものだとされる。ビバップ以降はガーシュインの『アイ・ガット・リズム』にその地位を蹴落とされるのだが。

さてミルスといえば有名なのが楽器のインパースネーション。このフィルムの冒頭にもこれ見よがしに「ギター以外の楽器は使っていない」旨のクレジットが入っている。見事な芸ではあるが、数回見れば見るほうの驚きはなくなる。演る方は大変だけどね。芸の道の厳しさを痛感せずにはいられない。

2007-07-29

The Cats And The Fiddle 1938


‘The Duke Is Tops (aka The Bronze Venus)’(1938 米 ウイリアム・ノルテ)より   "Killin' Jive" (2:27)



この映画は残念ながら未見です。アメリカではDVDになっているようなのでいずれ購入しようと思っていたら、PD(著作権消滅)映画サイトからダウンロードできることに気づき、あわててDLすれどあと10日かかるという表示が何日も続いている。待ちきれないので、映画の感想は後日コメント欄にでも書き込むことにする。

何はともあれ奇跡のキャッツ&フィドルである。こんな傍流もいいところのアーティストの映像があろうなどとは数年前までは夢にも思わなかった。しかもレコード・デビュー前(彼らのデビューは39年)。吾妻光良氏もご執心だというこのバンド、大好きMe Tooであります。

音楽的にはJazzとリズム&ブルースのニッチというかインビトゥイーンなJive(ジャイヴ)にカテゴライズされるのだろう。スイング・ビートにバーバー・ショップ系コーラスというとミルス・ブラザースみたいだけど、C&Fのほうがハチャメチャ度は高くて芸のヴァリエーションも豊富だ。『キリング・ジャイヴ』の間奏部で見られる曲弾きやアコべ馬乗りなどのパフォーマンスはロカビリーやブルースではよく行われるルーティーン・ギミックだが、1930年代にはまだ珍しかったかもしれない。まあ起源はヒルビリーやディキシーランド・ジャズの時代にあるんだろうけど。

‘The Duke Is Tops’の主役リナ・ホーンについては後日まとめて取り上げるつもりです。ご期待下さい。

2007-07-28

Jeanne Moreau 1962


「突然炎のごとく」 Jules Et Jim (1962 仏 フランソワ・トリュフォー)より
『つむじ風』 Le Tourbillon De La Vie (2:25)



ジャンヌ・モローの隣でギターを弾いているのがシラス・バシアック。『つむじ風』や「気狂いピエロ」でアンナ・カリーナが歌った2曲の作者である。

10代のころに観たジャンヌ・モローは怖いおねえさんだった。いや「黒衣の花嫁」(1968)を観たときはすでにおばさんだと思った。女優としての彼女には惹かれるところがなかったのだ。しかし歌声にはどこか忘れがたい味があってレコードやCDを4~5枚所有している。当時好きなフランスの女優はブリジット・バルドーで、彼女の性的魅力にはやられっぱなしでした。

いまでも若い頃のバルドーは大好きだが、動物愛護運動がらみで時折伝えられる近影には落胆させられてばかり。グズグズと顔やからだの線がくずれてきていて、年齢のとり方がよくないなあ。モローも婆さんになったけど、こちらは何というかいい年齢のとり方をしているのだろう。きりっとしてカッコいい。相変わらず怖そうだけどこっちも年とったせいか、きりっとした怖い婆さんにも魅力(エロス)を感じるようになりました。

2007-07-27

Anna Karina 1965


「気狂いピエロ」 Pierrot Le Fou (1965 仏・伊 J.L.ゴダール)より
『いつまでも愛するとは言わなかった』 Jamais Je Ne T'ai Dit Que Je T'aimerai (3:02)


『いつまでも愛するとは言わなかった』『私の運命線』を書いたのはシラス・バシアックという人。ジャンヌ・モローが「突然炎のごとく」で歌った『つむじ風』の作者でもある。

それにしてもアンナ・カリーナとの離婚後にこんな濃密な作品を撮ってしまうゴダールは何という男であろうか。「誰はばかることなく美しい女性とつきあうことができるのが映画監督である」という名言を吐いたゴダールは、独特の癖はあれど超一級の女優審美眼の持ち主であると思う。

Anna Karina e Jean-Paul Belmondo 1965


「気狂いピエロ」 Pierrot Le Fou (1965 仏・伊 J.L.ゴダール)より
『私の運命線』 Ma Ligne De Chance (3:11)



「映画の中の歌うシーンを集めたアンソロジー」が本ブログのコンセプト。すでに某所でリストアップしたものを主なる素材としてそこに拙文を新たに添付していきます。

お前の文章なんぞつまらんと言われることがあっても、映像と歌を楽しんでいただければ編者としては満足だ。

いつの日かiPhoneにでもこれらの映像をすべて取り込んで、皆に見せてまわることができたら楽しいだろうな。「これいいだろ。いいだろ」って。さてどれぐらい玉が揃いますかな。