2007-09-28

Julie London 1956

「女はそれを我慢できない」 The Girl Can't Help It
(1956米フランク・タシュリン)より “Cry Me a River”(3:23)


ロックンロール映画の古典から、よりによってジュリー・ロンドンかよ、なんて声が聞こえてきそうですが、ロカビリアンやR&Bミュージシャンはそのうちやりますのでご勘弁を。

写真は映画の中でもかけられたジュリー・ロンドンのファースト・アルバム‘Julie Is Her Name’、邦題を「わが名はジュリー」という。そう沢田研二の写真集だかエッセイの「わが名は、ジュリー」(1985年、中央公論社刊、玉村豊男編)はここからとられたのだろう。

その昔、大橋巨泉がラジオの番組で「この歌手は本当に上手いか」みたいな特集をやっていて、ジュリー・ロンドンやプラターズを槍玉に挙げていたのを思い出す。要は、巨泉さんの好きなペギー・リーやカーメン・マックレエのような「本物」に比べるとフェイクだよと言ったのだと記憶している。そりゃそうでしょ。そもそもジュリー・ロンドンは「ジャズ・シンガー」ではなくて「ポップ歌手」なのだろうと思う。巨泉さんには「ポップ歌手」よりも「ジャズ・シンガー」のほうが偉いという序列(ヒエラルキー)が無意識かもしれないがあるのだろう。残念ながらというか幸いなことにと言ったらいいか、その価値観を共有することはできない。長くなるので、「ポップ」も「ジャズ」も両方愛したらええやんけ、と言って中締めしときます。

旦那のボビー・トゥループ(ジャズ・ピアニスト、作曲家、『ルート66』が有名)のプロデュースと高校時代の同級生アーサー・ハミルトンの曲提供によって“Cry Me a River”は世に送り出され、「女はそれを我慢できない」封切の翌年1957年、シングル・カットされて大ヒットになった。

ハスキー・ヴォイス=セクシーというのは、現在では通用しないほどステロタイプだなとは思うのだが、誘惑しつつ男を焦らす女性の身のこなしを思わせるようなスローなフレージングと相まって、悲しいかなパブロフの犬のごとく反応してしまう。いいじゃないの、幸せならば(って佐原直美か)。男はそれを我慢できない、ってことでおあとがよろしいようで。

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