2007-09-19

Anita O'day 1958

「真夏の夜のジャズ」Jazz On A Summer's Day
(1959米バート・スターン)より
“Sweet Georgia Brown,” “Tea For Two”(8:21)



「ジャズに名曲なし、名演あるのみ」とか申しますな。そのココロはと申しますってえと、ジャズてえもんは演ってナンボのモンで、アプリオリってんですか、演る前から「次の曲は名曲でございますから、ひとつご祝儀を」なんてえのが通用しねえ。どんな名曲であろうと演者の遣り口次第(しでえ)だとこういう意味らしいですな。

ここまでがマクラって奴でこっから本題に入りやすが、疲れたので普通にやります。

そういう訳でアニタ・オデイの「真夏の夜のジャズ」(@1958 Newport Jazz Festival )での歌唱は一世一代の名演だと思います。村上春樹が「ポートレイト・イン・ジャズ」(新潮文庫)の中でうまいこと書いていたのですが、今手元にないのでうろ覚えで記憶の中から引用を試みてみます。「午後の明るい光の中で歌うという【ジャズ・ヴォーカル】にとってこの上なく不利な条件のもとで、観客の耳目を惹きつけることに成功した。あるいはねじ伏せたと言ってもいい」というようなニュアンスだったと記憶します。

この映画に限らず観客のショットは逐一ステージと対応している訳ではありません。ひどいときは全く関係のないショットをつなぐ場合もあります。それに加えてアニタの顔のアップからバスト・ショットの多用は観客(映画の)をミスリードする可能性が高いと思います。あの顔は相当プラス・ポイントになったと思います。

以上のことを割り引いても、名唱だと思います。曲のアレンジというか構成に誰が責任を負ったのかは知りませんが、通常軽快なアップテンポで少々能天気に演奏される『スイート・ジョージ・ブラウン』をスローでルースなムードから始めて、一転気合注入したビートにのせてブルージーに決める、あるいは高速の『二人でお茶を』のノリの良さ、4バース・チェンジの決まり具合。すべてが上手くいったステージなのでしょう。うーん、シビレル。

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