2007-08-21

西田佐知子 Sachiko Nishida 1963

「アカシアの雨がやむとき」(1963日活・吉村廉)より
『アカシアの雨がやむとき』(2:22)



1960年に発売され、1962年に大ヒットし、1963年に歌謡映画化されるという現在では考えられないユルーいペースで世に広まった歌。60年安保のときにデモに参加した学生たちが歌ったとかいう伝説が流布され、安保後の「挫折」ムードとこの歌の持つペシミスティックな雰囲気がシンクロして、いわゆる「時代と寝た」と評される歌の典型的な例となった。

伝説とは切り離しても「イイ歌」、「イイ歌唱」だと思う。かつて平岡正明が山口百恵を論じたときに「西田佐知子~いしだあゆみ~山口百恵」というノンビブラート唱法の女性歌手の系譜を紡ぎ出したのを思い出した。この人はいわゆる「イイ声」ではないのだけれど独特の喚起力があって、それこそ歌に憑依する巫女さん体質が強烈にあるのだと思う。

しかしながら、この歌は西田の最上の作品ではない。何といっても『くれないホテル』(筒美京平作曲)が彼女の否戦後歌謡曲の最高の到達点だと思う。

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