2007-09-25

Nadine Nortier 1967

「少女ムシェット」Mouchette (1967仏ロベール・ブレッソン)より
曲目不明 Unknown Song (0:44)



ロベール・ブレッソンの映画では人は歌わない、という何となくの思い込みがある。それどころか音楽が流れることもなかったのではとすら思えてしまう。静謐な佇まいと禁欲的な人物像。これがブレッソン映画の印象なのだが、凄惨な事件や悲劇は静謐なムードの連続の中で生起する。アメリカ映画などで事を起こす前の人物が散々ジタバタするところを描くのとは対照的なやり方だ。いい悪いではなく、それが彼の個性なのだと思う。

映画の中で歌う行為は、どこか真情吐露的なところがある。あるいは人物の心理描写の一手法であると言ってもいいかもしれない。それは一歩間違えれば陳腐なあざとさに堕してしまう危険性を持っていると思う。相米慎二作品が、あざとさにあえて半歩踏み出して少年少女たちに歌わせてきたことを思い出す。

本作で歌うシーンがあったことは、このクリップを見つけるまですっかり忘れていた。と言うよりもラスト・シーン以外は全く憶えていなかった。このシーンの前に学校での出来事があり、そこでムシェットは屈辱的な状況で同じ歌を歌わせられている。断片的に見ていくと、ごく普通の映画に見えてくるから不思議だ。

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