2007-09-17

Clint Eastwood 1982



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「センチメンタル・アドベンチャー」Honkytonk Man (1982米クリント・
イーストウッド)より “When I Sing About You”(1:46)



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「センチメンタル・アドベンチャー」Honkytonk Man (1982米クリント・
イーストウッド)より “Honkytonk Man”(1:02)

「センチメンタル・アドベンチャー」Honkytonk Man(1982米クリント・
イーストウッド)より “Honkytonk Man”(3:52)



今でこそ偉大なる映画作家クリント・イーストウッドということになっていて、人は彼の近作を安心してほめることができるけれども、80年代半ばまでのイーストウッドは「ダーティー・ハリー」役者(だけの人)と認識する向きが大半を占めていた。

本作などは東京ではロードショー公開されず、地方(沼津、宇都宮)で2本立て興行の1本として封切られた。その後名画座にかかる回数も少なかったと記憶している。そのせいか劇場で本作を見た人が比較的少ないようだ。イーストウッドが劇中で死んでしまう数少ない映画の1本で、個人的には彼の作品でベスト3に入る名作だと思うのだが、この映画をそこまで買っている人は少数派のようだ。

アル中で肺結核の売れない歌手という設定で、歌のおぼつかなさを誤魔化したと取る向きもあるようだが、それははっきり誤解だと言っておこう。イーストウッドは若いときから音楽家志向があって、ピアノの腕前などはなかなかのものだし、歌の吹き込みも結構ある。たしかに一流歌手と比べると特筆すべき魅力はないのだが、技術的には70年代のあまり歌の上手くないシンガー・ソングライター程度には歌える人だと思う。

Clint Eastwood.Net のRecordings という頁で彼のレコードが20曲ぐらい聴けるから是非聴いてみてほしい。

ジュークジョイントで歌う“When I Sing About You”は誰の曲か知らないけど、素朴でイイ感じの曲だ。ここでは発作も起きずに最後まで歌い終えている。店の外で座って聴きながら口ずさんだり、ギターのコードを押さえる真似をしている少年は、劇中では甥っ子、実際は息子のカイル・イーストウッド
(当時14歳)。その後何本かの映画出演を経て、現在はプロのミュージシャン(ジャズのベーシスト)となり、親父の映画の音楽を手がけたりしている。余談だが、イーストウッドは本作製作にあたってギブソン社に特注でギター2本を作らせたそうだ。映画撮了後は、親父が1本、息子が1本所有していて今でも弾いているらしい(息子談)。

映画のタイトル・ソング“Honkytonk Man”。上はカントリー・ミュージックの桧舞台「グランド・オール・オプリー」が収録されていたライマン劇場でのオーディション。下の映像はナッシュビルでのレコーディングだ。残念ながら台詞がドイツ語吹き替えのものしか見つからなかった。レコーディングの途中で発作を起こして歌えなくなってしまうのだが、途中で歌を引き継ぐのが『エル・パソ』などのヒット曲で知られる伝説的カントリー歌手マーティ・ロビンスだ。皮肉なことにロビンスは撮影後まもなく心臓発作でこの世を去ってしまう。完成した映画を観ることもなかったと伝えられている。享年57であった。

2 件のコメント:

吾妻虎太郎 さんのコメント...

マーティーロビンスのプロデューサーはドン・ロウですね。リンダ・ホプキンスも出ているし。音楽ファンにはたまらない映画です。

thornhill さんのコメント...

そうなんですよ。でも世間的にはあまり好まれていないようで残念です。