2007-10-05

葛蘭 Ge Lan/Grace Chang 1960

「野玫瑰之戀」 Ye mei gui zhi lian / The Wild, Wild Rose
(1960香港Tian-lin Wang) より 『卡門(カルメン)』 Carmen (3:36)

「野玫瑰之戀」 Ye mei gui zhi lian / The Wild, Wild Rose
(1960香港Tian-lin Wang) より 『說不出的快活』 Ja'Jambo (1:48)



北京語で歌われるポップスをマンドポップまたはマンダポップというらしい。全くの門外漢には、グレース・チャン(葛蘭)の位置づけなど分かるはずもなく、またこの映画も当然未見です。すみません。服部良一生誕百周年記念に何かひとつエントリーしようと思って検索していて引っかかってきたのがこの人。

この当時の香港映画界は日本の監督やカメラマンを受け入れて技術交流をしている時代だった。「香港への道」(リュミエール叢書)の著者のカメラマン西本正氏がキーマンであった。この映画のカメラは西本氏ではないが、立派な絵作りの映画なので驚いてしまう。果たしてこれは日本映画界の技術移転の賜物なのであろうか。

ビゼーの『卡門(カルメン)』の編曲に服部良一がクレジットされている(といってもこれはアップロードした人のコメントに書いてあったもの)。ところで、服部良一はわざわざオリジナル編曲を頼まれたのだろうか。1947年にミュージカルで笠置シヅ子らが歌った『ジャズ・カルメン』の使いまわしなのではないかと推理しているのだが。

そう推測するのは『說不出的快活(ジャジャンボ)』が1955年の笠置の持ち歌だからだ。残念ながらオリジナル未聴につき、アレンジの異同については分からないのだが、『カルメン』の後半部分も含めて服部らしさが全開のアレンジだと思う。

グレース・チャンは基本的にはクラシックの歌い方を勉強した人らしいのだが、パンチがあってノリもよく、素晴らしい歌手だと思う。『カルメン』の前半の歌唱は矢野顕子を想起させる。あと関係ないけど顔はちょっと内田春菊に似ているかも。

この映画はオペラ「カルメン」の翻案らしくて、実はもう1曲服部がからまないクリップがあるのだが、いまひとつ面白味を感じなかったのでオミットした。興味のある方はこちらもご覧下さい。

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(2007.10.11 追記)
すみません。訂正です。笠置シヅ子の『ジャジャンボ』持ってました。3枚組CD「ブギの女王=笠置シヅ子」の3枚目に入っておりました。旗照夫とのデュエットで、アレンジはグレイス・チャンのものとほぼ同じ。ただ、冒頭に「ジャジャンボー」とブチ上げるのと終盤に2回転調してキーを上げていくのはグレイス・ヴァージョンだけの特徴。加えてヴォーカルのノリは圧倒的にグレイス・チャンの方がよい。笠置のCDの解説(筆者無署名)に、この曲は法華経のリズムをヒントに書かれたとあり、なるほどオリジナル版のヴォーカルはお経のようにベッタリした譜割とノリだわ。ちなみにこの曲は笠置のラスト・レコードでもありました(片面『たよりにしてまっせ』)。

●葛蘭のフィルモグラフィ
●葛蘭 @「香港映画の世界」
●Unofficial website of Grace Chang, Ge Lan
●Tian-lin Wangのフィルモグラフィ
●服部良一のフィルモグラフィ
●服部音楽出版 presents 「胸の振り子」

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