2007-10-05

Malcolm McDowell 1971

「時計じかけのオレンジ」 A Clockwork Orange (1971英スタンリー・
キューブリック)より 『雨に唄えば』 Singin' in the Rain (3:14)



『雨に唄えば』を歌いなが暴力・陵辱の限りを尽くすというアイデアは、アンソニー・バージェスの原作にはなく、撮影現場で急遽追加された演出なのだという。マルコム・マクダウェルが空で歌えるのはこの歌だけだったので選ばれたとのことだが本当だろうか。あまりにもハマリすぎている。クラシック音楽、とりわけベートーヴェンの第9シンフォニーが好きという設定とは矛盾するような気もするが、違和感は全くない。映画の終盤で正体がバレるときのキッカケとしても気が利いていると思う。

ドキュメンタリー映像などで人となりを見る限りでは、キューブリックは穏健で政治的にもリベラルな人物に思えるのだが、彼の作品からは暴力を憎みつつ魅せられてもいるというアンヴィヴァレントな志向性が感じられてならない。実はそれがヴァイオレンスを描く映画監督には必須な資質なのかもしれないと思ったりもするのだが。

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