‘The Girls On The Beach’ (1965 米 ウイリアム・N・ウイットニー)より
“The Girls On The Beach” (3:18)
‘The Girls On The Beach’ (1965 米 ウイリアム・N・ウイットニー)より
“The Lonely Sea” (2:25)
‘The Girls On The Beach’ (1965 米 ウイリアム・N・ウイットニー)より
“Little Honda” (1:51)
「夏だ。海だ。サーフィンだ」というアメリカ型消費文化の同伴「バンド」から、世紀の傑作アルバム「ペット・サウンズ」や幻のアルバム「スマイル」を生み出した文化英雄へ。ビーチ・ボーイズへの評価は収まるところに収まったかに見えて、実はいまだにちょっとズレているのではないか。
ロックの革新性は今となっては「演奏(および楽曲)の自前性」にしかないと乱暴に言い切ってしまっても大きな間違いではないと思う。それに照らすと、レコード上での自前の演奏がデビュー直後からなくなっていったビーチ・ボーイズは、少なからぬアメリカのミッド・シクスティーズの「バンド」と同様に、ロック・バンドではなく「ポップ・グループ」なのだということになる。
ところが「ポップ」のフィールドにおいては、楽曲・編曲・プロデュースといったクリエイティヴな分野にはすべて専門スタッフがいて、メンバーは楽曲提供の一部にしかかかわらせてもらえないのが通例である。われらがビーチ・ボーイズ(というよりもブライアン・ウイルソン)はこれら専門職能をすべて一手に独占し、成長するにつれて楽曲の描く世界観から刻まれる音像までをトータルに引き受ける「作家性」を強く打ち出したのである。ビートルズでさえここまでの権限が与えられなかったことを考えると、驚くべきことである。
この映画で歌われた3曲は「サーフィン=ホット・ロッド」を主な題材とする時代のビーチ・ボーイズだが、「ペット・サウンズ」「スマイル」期の作品と比べても何ら遜色のない佳曲たちである。映画のテーマ曲でもある「ガールズ・オン・ザ・ビーチ」は彼らのかつてのヒット曲「サーファー・ガール」の二番煎じのような曲であるが、その音像は確実に進歩のあとが見られ、今でもこちらの方が好きだったりする。ちなみに「サーファー・ガール」の冒頭のメロは「星に願いを」をひねったものだとの、ブライアンの解説を読むまでまったく気づかなかったものだが、さらにひねった「ガールズ・オン・ザ・ビーチ」には「原曲」の痕跡がまったくと言っていいほどない。
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