「上海から来た女」 The Lady From Shanghai
(1947 米 オーソン・ウエルズ)より “Please Don't Kiss Me” (1:32)
女優さんの歌というと吹き替えが相場で、現にリタ・ヘイワースも「ギルダ」(1946)ではアニタ・エリスによって歌を吹き替えられているわけだが、もともとショー・ガールだった彼女は歌も歌うわけで「上海から来た女」が吹き替えであるかどうかはネットで調べてもはっきりとはわからなかった。
プロデューサーのハリー・コーンによって70分近く短縮されたにも関わらず、この作品は光輝いている。その光の幾分かはリタ・ヘイワースによるところなのだと思う。思えばヘイワースは「ギルダ」に代表されるような赤くうねる髪の悪女として人々に記憶されているのだが、「モノクロ画面に赤い髪が映えないこと」「一見して訳あり悪女の容姿は避けたいこと」を考えれば、不評であったというショートカットのプラチナブロンドは正解だし、それよりも何よりも十分に魅力的だと思うのだが。
コーンは作品を切り刻む一方、ヘイワースのクローズアップを増やす目的で “Please Don't Kiss Me” のシーンを追加撮影させたということなので、このシーンの素晴らしさゆえ彼を擁護してもいいのではないかと思う気持ちがチラと頭をかすめたりもするのだが、155分のオリジナル全長版を見られる日が永久に来ないであろうことを考えると、いや許してはならぬと思い直すのであった(ちょっと蓮實センセ風)。
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