「メイド・インUSA」 Made in U.S.A. (1966仏J.L.ゴダール)より
『涙あふれて』As Tears Go By (2:03)
美声時代のマリアンヌ・フェイスフル。ミック・ジャガーの恋人でもあった時代かな。ジャガー=リチャード作でストーンズのヒット曲でもあった『涙あふれて』をアカペラで歌う彼女は、ゴダール映画には珍しくイノセントな女性のイメージとして画面に定着されている。
ゴダールの好む女優の顔の系列というのが話題にのぼることがあるが、これについて明晰に述べた文章を知らない。アンナ・カリーナ、アンヌ・ヴィアゼムスキー、ジーン・セバーグ、ミリアム・ルーセルと主演女優を並べていくことで何となく了解できてしまうテイストを分析したりするのは野暮だと皆が敬遠するからなのだろう。
「メイド・インUSA」で主演ではなかったフェイスフルは以降ゴダール映画ではお呼びがなかったわけだ(すなわちゴダールの好みの顔ではなかったのだ)が、世間的には「あの胸にもういちど」の主演によって官能的なレザー・スーツの女として記憶されることになった。
またストーンズはゴダールとは縁があったようで「ワン・プラス・ワン」(1969)でゴダールと組むわけだが、政治の季節にどっぷり入ったゴダールの異様な「政治寸劇」、ブライアン・ジョーンズのバンドからほとんど脱落している雰囲気などが作品全体を覆って重苦しい作品となってしまった。肯定的に語られるのは、ラストのクレーン自体を被写体としてしまった「クレーン撮影」のみ。完成した『悪魔を憐れむ歌』がかぶさるこのシーンのかっこよさ、カタルシスは相当なものだが、何がそんなによいのかを説明することは相当に困難である。
2007-08-10
Marianne Faithfull 1966
Posted by thornhill / 11:19
Tags: 1960s, C: Jagger-Richard, D: Jean-Luc Godard, FG: Nouvelle Vague, N: France, S: Marianne Faithfull
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿