「ブルー・スカイ」Blue Skies(1946米スチュアート・ハイスラー)より
“Puttin' On The Ritz”(4:35)歌よりもタップと何度見ても不思議な画面ですか。やっぱりそこに目が行っちゃうよね。ステッキが2度手元に戻ってくるのは床に設えた装置を使っているらしい。フィルムの逆回しを使っているのかと思わせる出来映えだ。途中でカットを1回割っているのと、パンして床に置いたステッキをフレームアウトしているのは、そういう訳だったのだ。
最後の9人のアステアを従えて踊る部分は、2ヴァージョン撮影したものを互い違いに焼きこんで合成したものとのこと。現在ならコンピュータで簡単に出来るのだろうが、最早誰も驚かないだろう。このシーンはカラクリが分かってもなお不思議な気持ちを抱かせるに十分なインパクトがある。
アステアの歌は決して上手くないし音程もよくはないのだが、鼻歌風のリラックスした感じがあって好ましく思ってしまう。結構イイ曲を歌っているのだが、曲の良さを殺していないというか歌手としての過度の主張がないところがイイと言ってもあまり誉めたように聞こえないかな? ちなみにこの曲はアーヴィング・バーリンが作詞作曲を手がけた。と言うよりもこの映画全体の曲(ほとんどの作詞も含む)とストーリーはバーリンの手によるもの。
本作の主役たるビング・クロスビーについては後日改めて取り上げます。
2007-09-23
Fred Astaire 1946
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thornhill
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Tags: 1940s, A: Fred Astaire, C: Irving Berlin, FG: Musical Films, N: USA
2007-09-20
Al Jolson 1927
「ジャズ・シンガー」The Jazz Singer(1927米アラン・クロスランド)より
“Dirty Hands, Dirty Face”(2:52)
「ジャズ・シンガー」The Jazz Singer(1927米アラン・クロスランド)より
“Toot, Toot, Tootsie”(2:07)
「ジャズ・シンガー」The Jazz Singer(1927米アラン・クロスランド)より
“Blue Skies”(2:49)
「ジャズ・シンガー」The Jazz Singer(1927米アラン・クロスランド)より
“My Mammy”(2:07)「世界初のトーキー映画」ということになっているが、正確に言えば少々違う。映画の大部分がサイレント映画で、見せ場である歌とそれに付随した部分だけに音が入っている「パート・トーキー」であること。長編映画(フィーチャー・フィルム)としては世界初であるが、1~2巻ものの短編では何年も前にトーキー化が実現されているという事実をあげておこう。以前にエントリーしたMills Bros.で触れたようにフライシャー・スタジオ制作のSong Car-Tunesシリーズ(1924~1926)というのがすでにあるので、少なくともトーキー映画の起源は1924年まではさかのぼることになる。それ以前となるとさっぱり分からない。一応 wikipedia のSound film を参考にあげときます。
Dirty Hands, Dirty Face:エドガー・レズリーとグラント・クラークという人が歌詞を書き、ジェームス・V・モナコという人が曲を書いた曲。今日的観点から聴けばさして面白い曲ではない。まあ歴史的価値ということで観聴きすればよろしいかと。なお「ジャズ・シンガー」の「ジャズ」も歴史的な意味を持った単語であることにご注意を。狭義のジャズではなく、すなわち現在ポピュラー・ミュージックの1ジャンルとして認識されている特定の音楽ではなく、クラシックの歌曲や宗教的な歌あるいは民俗的な要素を持った歌以外の「卑俗な歌」全般を指している。当時のポピュラー・ソングとほぼ同義と言ってよいと思う。
Toot, Toot, Tootsie:ガス・カーンが中心となって書かれた曲。普通ガスと表記されるが本名が Gustav Gerson Kahn なので、グスが正解なのかもしれない。代表作は "It Had to Be You" (1924)、 "Yes Sir, That's My Baby" (1925)、 "Side by Side" (1927) 、"Makin' Whoopee" (1928)など。大作詞家である。“Toot, Toot, Tootsie”は2ビートっぽいニュアンスを持ったスイング・ビートの軽快な曲。間奏の指笛も面白い。映画史的には曲前の台詞“Wait a minute, wait a minute, you ain't heard nothin' yet.”の方が有名かもしれない。和田誠氏の著書のタイトルにもなった「お楽しみはこれからだ」である。
Blue Skies:アーヴィング・バーリン作詞作曲の有名曲のひとつ。数年前に日本のTVCFでも使われたマキシン・サリヴァンのヴァージョンが大のお気に入りだったりする。イイ曲の賞味期限はないに等しい。なんてね。My Mammy:この映画の最大の見せ場のひとつ。黒塗り(blackface )は、ミンストレル・ショーの伝統に則っているわけだが、人種的軋轢の時代を経て廃れたスタイルである。黒人蔑視のエスニック・ジョークの類として片付けてしまうのは簡単だが、現在にもつながる視点で言うと黒人になりたいBボーイたちの先駆け的な存在と言えなくもない。相当屈折してるけどね。あ、この曲は有名なウォルター・ドナルドソンが作曲した曲で、アル・ジョルソンにとっても代表作のひとつとなっています。
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Tags: 1920s, A: Al Jolson, C: Gus Kahn, C: Irving Berlin, C: Walter Donaldson, FG: Early Talkie Films, FG: Vitaphone Films, N: USA, X: 黒塗り Blackface